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世界・博物館めぐり 情報提供山田 靖彦氏

サンディエゴ航空宇宙博物館 

 サンディエゴ航空宇宙博物館はサンディエゴ市内の丘陵に位置するバルボア公園の中にあります。ダウンタウンの最寄の市電の停留所(シティー・カレッジ)から歩いて20分ほどです。バルボア公園に向かう路線バスも在るのですが私はバス停を見付ける事が出来ませんでした。バルボア公園はアメリカ最大級の動物園やゴヤやグレコの絵画が展示されている美術館で有名ですが、航空博物館もなかなかのものです。
 博物館は10時から4時30分までですが、サマータイム中は5時30分まで延長されます。入場料は5ドルです。入り口の両側にはSR-71やコンベア・シーダートがあり気分を盛り上げてくれます。この博物館には約70機が展示されており、ここでもボランティアが案内や展示機の復元に活躍しています。
 この博物館の建物は元はロサンゼルスのフォードV8のショールームだったそうで、上から見ると数字の8の形をしています。
 展示は1913年のドペルデュサンから零戦にF6F、そして巡航ミサイルやマーキュリー・カプセルまでバリエーションに富んでいます。大戦間の民間機や練習機も充実しています。また、サンディエゴといえばライアン社、リンドバーグ機の飛行可能なレプリカやX-13等ライアンの飛行機が展示されています。ファイアーボールの写真もアメリカ最初のジェット艦上機と誇らしげに解説されていました(それだけか?)。ここで私が一番驚いた展示は1943年製のターゲット・ドローンです。2ストのエンジンと2重反転プロペラを持つ真っ赤なラジコン機です。こんな立派なラジコンで対空射撃の訓練をしていたとは・・・日本機が苦戦するのも当然です。
 この博物館は70年代に放火に遭い展示の多くを焼失したため、もう一度展示品を集めて修復していったそうですが、現在の充実した展示を見るとこの博物館を支えるボランティアの人達の層の厚さと技術の高さを窺い知ることが出来ます。
 私が中学生の頃から遠ざかっていたヒコーキの趣味に本格的に戻るきっかけになったのもこの博物館でした。動物園や美術館へ行くついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
 

アメリカ空軍博物館

 
 アメリカのオハイオ州デイトンに空軍博物館があるというのはみなさんご存知でしょう。既に博物館のHPを見た方もおられると思います。HPには日本語の解説があり、デイトンの市街の北東9.6キロに博物館があるということが記されています。しかし、どうやってデイトンまで辿り着くかは書いていませんのであまり役には立ちません。
 デイトンへ行くのは案外簡単です。たとえば関空から直行便のあるデトロイトまで行けば、国内線に乗り換えてデイトンまで1時間10分程です。成田からであれば、シカゴ経由という方法もあり、シカゴからデイトンまで1時間30分程です。
 デイトン国際空港は市の北約15キロに位置しています。デイトン市街から博物館へはバスターミナルから11系統・空軍博物館行というバスが出ているようですが、タクシーを使う方が確実だと思います。博物館の周りには何も無いので帰りも迎に来てもらうと良いでしょう。
 博物館については昨年モデルアート誌で紹介されていましたが、とにかく巨大な博物館です。入場無料で約200機が展示されていますが1日で全てを見るのは不可能で、私も別館を見る事は出来ませんでした。出来れば2日かけて見る事をお勧めします。館内の写真撮影は可能ですが大部分は非常に暗く、フジのズームマスター800等の高感度のフィルムが必要であり、三脚も欲しいところです(低感度のフィルムで安易にフラッシュを使うとノハラ氏の写真みたいになりますよ)。
 とにかく展示の質、量共に素晴らしい博物館です。アメリカに行く機会があれば是非訪れてみてください。

 

チャンプレン戦闘機博物館

 
 イーグルファイル#2のFw190D-13や紫電改の復元で有名なチャンプレン戦闘機博物館はアリゾナ州メサにあります。スケビの1号でアクセスがとんでもなく大変と書いてありましたがそんな事はありません。フェニックスまではサンフランシスコまたはロサンゼルスから飛行機で2時間ほどです。フェニックスはカリフォルニア州の隣のアリゾナ州の州都ですから大手の航空会社が2時間に1本ほどの割合で運行しています。乗り継ぎも問題ありません(ユマを経由する必要なんかありません)。
 博物館はフェニックスの国際空港から約30キロ離れた所にあるファルコン・フィールドという飛行場の中にあります。滑走路を隔てた向かいにはアパッチの部隊が駐留しており、隣には、といっても1kmほど離れていますが、コンフェデレート・エアフォース・ミュージアムがあります。
 博物館の開館時刻は季節によって変わるので注意してください。サマータイム中の4月15日から9月15日は8時30分から3時30分まで、それ以外は10時から5時までです。
 博物館の建物は飛行機の格納庫をそのまま利用しています。そして博物館の館員は退役軍人の人達がほとんどでパイロットも務めます。入り口にいた案内のお婆さんは元GHQの職員で昭和25年まで東京にいたという人でした。
 展示されている機体は多くが飛行可能であり、エンジンの下にオイルパンを置いているところから飛行機が生きている事を実感出来ます。生きている飛行機には独特の迫力があります。D-13の排気管も黒く焼けています。
 この博物館の方針は「飛行機は飛ばねばならぬ!」という事だと思われます。スペイン向けと思われるBf109Gの胴体にDB601を取り付け、翼端を切り落としてE型のように見せたりしています。ものすごく強引でオリジナルにこだわるノハラ氏が罵倒しそうなやり方ですが、実物の迫力に触れると、細かい事を言うなと言いたくなります。
 Fw190D-13の復元も色々と非難されていますが、お金も手間も協力しない人にあんな事を言われる筋合いはありません。イーグルファイルのレストア前の状態を見ると当時としては出来うる限りの復元を行った事が分かります。そして空気取り入れ口の形状が修正されていた所からも分かるように、レストアは現状でおしまいという訳ではありません。いつかは本来の塗装に復元されるでしょう。
 この博物館の経営はとても楽だとは思えません。99年の2月に初めて訪れたときはT-34/85戦車や火砲、機関銃等も展示されていましたが、昨年9月に訪れた時はそれらの殆どが無くなっていました。各国のエースのサイン入りの写真も展示されていたのですが、ハルトマン等の特に貴重な物が無くなっています。入場料も8ドル50セントに値上げしていたと思います。この博物館はチャンプレン氏と彼の仲間の情熱だけで保たれているのでしょう。一人でも多くのファンがここを訪れ、この素晴らしい博物館がいつまでも続くように願ってやみません。
 余談ですが、私が昨年9月にメサを訪れた時は、気温が華氏108度ということでした。つまり、摂氏42度という事です。午後を過ぎると博物館を訪れる人はほとんどいません。私は閉館までいましたが最後の1時間は私一人の貸切状態でした。頻繁に水を飲みましたが、そうしなければ脱水症状を起こしていたでしょう。夏にここを訪れる時は注意してください。
です。

 <チャンプレン博物館補足>

 
 平成13年6月に再びチャンプレン博物館を訪れました。アリゾナは6月でも気温は既に40度を越えていました。
 博物館ではD13のレストアが再開され、ゴスホークの修理工場の中で完全に分解されていました。デイトンのD9と翼を交換し、本来の姿に戻されるようです。チャンプレン氏はやる時はやります。「もう一度徹底的な複製を・・・」とか言うだけの日本人とは違いますね。
 以前から博物館は閉館し、展示されている機体はシアトルのミュージアム・オブ・フライングに移されるという噂がありましたが、残念ながらこの噂は本当でした。展示されている機体は既に売却が決定しており、あと2年ほどでシアトルの博物館に展示スペースが出来るので機体を移動した時点で博物館は閉館するという事でした。また、スミソニアンから貸与されている紫電改も2003年にダレス空港横に新しい博物館ができれば返却されるそうです。ただし、博物館に隣接しているスティーブ・ゴス氏のゴスホーク・アンリミテッドは、これからもファルコンフィールドで活動を続けるそうです。